「宇宙人のホームステイ」(6)



ボクたちは、朝ごはんを食べるためにリビングルームに行った。

ちょうどテレビでニュースをやっていた。

広島からの中継だった。

そうだ、今日は8月6日、ヒロシマの日だった。

日曜日だったので、お父さんもいた。

アキトくんがいつものニュースと違うのに気がついたらしい。

「あれは何をしているのですか?何かの儀式ですか?」

と聞いた。

式典会場の中継だった。

「もう60年以上になるけれど、原子爆弾というものが、日本のヒロシマに落ちたんだよ。」

お父さんが、原爆の説明を始めた。

「たった一発で何十万人もの人が死んでしまった。この日には、こうやって

 平和のための式典をして、原爆を繰り返さないようにしているんだよ。」

アキトくんは、じっとテレビを見ていた。

指が少し動いていたから、この様子も先生のいる宇宙船に報告しているのかな。




「その話は、ボクたちもよく聞いて知っています。

これは地球だけの問題ではありません。

 そのときの人々の攻撃、暴力、恐怖、憎悪といった波動が、宇宙に流れ出し、

 ほかの星にも致命的な被害を与えたのです。

宇宙では、エネルギーがすべてです。

 悪い波動を持ったエネルギーは、ほかの生命体にも害を与えます。」

アキトくんは、さらに続けた。

「この原子爆弾が使われたことで、ほかの太陽系の運行にも影響を与えました。

 軌道が少しずれたところもありました。」

ボクたちは、びっくりした。地球の上の話なのに、宇宙中に影響を与える?

ほんとう?

お父さんもお母さんもボクも、顔を見合わせた。

「はい、本当です。

そして原子爆弾が落ちたときには、宇宙中に地球の悲鳴が響き渡ったそうです。」

ボクたちは、黙ってしまった。

だれも何も言えなかった。

テレビでは、まだヒロシマの様子が中継されていた。

ほかの国で、被爆や平和のことを歌った歌も流れていた。

中央アジアのある国では、核実験で多くの人が被爆して、それが市民運動になって、

核実験を中止させることができたそうだ。

彼らは、平和のための歌を歌っている。

「ザマナイ」というタイトルの歌だった。




お父さんが、やっと口を開いた。

「私たちは、もっともっと、多くのことを反省しなければいけないのだな。」

アキトくんは、笑顔になった。

「でも、あなた方はこうやって平和を祈る式典をしています。

 多くの地球人が平和のために、働いていることも、私たちは知っています。

 もうすぐ、あなた方も、ほかの宇宙人たちと会うことができますよ。

 近い将来、もうすぐです。

 宇宙の仲間たちは、宇宙の平和と、友情を望んでいます。

 地球にも、早く友達として仲間入りしてもらいたいと、みな、そう思っています。」

「早く、そんな時代になってもらいたいものだ。」

お父さんはため息をついた。

さっきの歌、「ザマナイ」とは、「時代」という意味だそうだ。