「宇宙人のホームステイ」(7)



あっという間に2週間がたった。

ボクはアキトくんがいる生活が、もう当たり前になっていた。

ボクたちは、いろいろなことを話し合った。

遊びのこと、勉強のこと、食べ物のこと、星のこと、宇宙のこと、など。

アキトくんは子供なのに、本当によく知っている。

ボクはすっかり感心していた。




「今日で2週間が終わったね。地球の生活は、とても楽しかったよ。」

夕食のあと、アキトくんがそう言い出した。

ボクは、胸がズキンと痛んだ。

そうだ、終わってしまう。

お父さんもお母さんも、顔を見合わせた。

「アキトくん、寂しくなるな。

 私も、君がこの家の子供のような気がしてきたよ。」

「あきらくんのお父さん、ありがとうございます。

 ぼくを滞在させてくださって、ありがとうございました。

 こんなふうに暖かく受け入れてもらって、ぼくは嬉しかったです。

 自分の星の友達や家族に、みやげ話がたくさんできました。

 そして、地球の人達が優しくて、感動しました。

 ぼくは、帰ったら、レポートを書きます。

 地球の生活と、地球の人達を、みんなに紹介するためです。」

「そしたら、もっとたくさんの子供たちが、地球に遊びに来るかしら?」

お母さんは、ちょっと嬉しそうだった。

もっと宇宙人の子供のお世話をしたいんだって。

「あきらくんのお母さん、今度は、大人も来ると思います。

 でも、それは大事なお仕事になります。

 この地球が、宇宙人の仲間入りをできるかどうか、

 決めるための話し合いになると思います。

 ぼくはその仕事のお手伝いもするために、地球に来たんです。」

ボクは驚いた。

てっきり、アキトくんの夏休みの宿題のためだけかと思っていたんだ。

「もちろん、ぼくの夏休みの宿題でもあるよ。

 でも、そのレポートが、もっと多くのことに使われるっていうこと。

 大事なことなんだよ。

 地球の人達が、宇宙人として、みんなと仲良くできるかどうかを

 判断しないといけないんだから。」

「できるかな。」

ボクは、少し心配になった。

「きっと大丈夫。」

アキトくんはいつものように笑った。




ボクの部屋に戻った。

もう夜になって月が出ていたので、天体望遠鏡で見てみた。

2週間前までは、ボクは一人で夜空を眺めていた。

今は、アキトくんと一緒だ。

キラっと銀色の光が見えた。

先生の宇宙船が、時間だよ、と合図してきた。

アキトくんは、立ち上がった。

「さあ、行かなくちゃ。」

ボクは、急にとても悲しくなった。

アキトくんが行っちゃう!

ボクはまた一人で天体望遠鏡を眺めることになるんだ。

せっかく宇宙人とお友達になれたのに。

宇宙人がいるなんて、信じている人は、ボクの周りには誰もいない。

「いやだよ!アキトくん、帰らないでよ!」

ボクは、男の子なのにみっともない、と思いながらも、涙声になってしまった。

「すごく楽しかった!もっといてもいいんだよ!」

お父さんもお母さんも、アキトくんの様子を見に来た。

ボクは、こらえきれなくなって、うわーんと泣いてしまった。

「あきらくん、また会えるよ。

 ぼくと一緒に、大事なお仕事をしてもらいたいんだ。

 地球が宇宙人の仲間入りができるかどうか、君の役割も必要なんだよ。」

え?そうなの?

そのとき、円盤から先生の声がした。

「あきらくんのお父さん、お母さん、そしてあきらくん。

 2週間、とてもお世話になりました。ありがとうございました。

 素晴らしい滞在になりました。

 私も、とても満足しています。

 あきらくんには、また協力してもらいたいことがあります。

 アキトと、定期的に連絡をとってもらいたいのです。

 あきらくんの優しい心、平和を思う気持ちは、私たちの波動に

 ぴったり合うのです。

 地球はこれから、大きな変化を迎えます。

 そのときに、あきらくんとアキトは、子供の代表として、

 ぜひがんばってもらいたいのです。」

ボクは、びっくりした。

アキトくんと、これからも連絡を取り合っていいなんて!

夢みたいだ!

アキトくんは、ボクの宇宙の親友だ!やったー!

「先生、ありがとうございます。

 ボク、これからもアキトくんとお話できるなんて、とっても嬉しいです。」

アキトくんは、ボクに石みたいなものをくれた。

「これは、遠く離れていても通信できるものだよ。

 今度は、頭の中で会話ができるよ。」

それは、黒くてメタリックに輝いていて、宇宙的に見えた。

「ありがとう。アキトくん、今度は君の星の様子を教えてよ。」

ボクたちは約束した。




ボクの宇宙の親友は、円盤に戻っていった。

ボクは、天体望遠鏡で眺めた。

空で、何回か飛んでくれたあと、とつぜん消えて見えなくなった。

エアという星へ帰ったんだろうな。

すごい夏休みだった。

ボクの夢が叶ったんだ。

今度会うときは、大事なお仕事があるんだって。

その日を、楽しみに待っていよう。



完