「宇宙人のホームステイ」(3)
お父さんとお母さんは、変な顔をしながら、リビングルームにいた。
ヒソヒソと何か話し合っていた。
ボクとアキトくんは、部屋に入っていった。
「あー、君か?その、遠くから来たという家出少年は。」
お父さんは、今にも警察に電話しそうな雰囲気だ。
お母さんは、心配そうな顔をしている。
「はじめまして。ボクは、地球から遠く離れたエアという星から来ました。
名前は、アキトといいます。
学校の夏休みの宿題のレポートを書くために、地球にやってきました。
少しの間、お世話になってもいいでしょうか?
地球の生活のことを知りたいのです。
よろしくお願いします。」
立派な挨拶だった。
ボクだって、こんなふうに人前で話すのは難しいのに、
アキトくんは、地球の言葉を上手にしゃべっている。
感心した。
お父さんは、大声で笑い出した。
「ずいぶん、立派な挨拶だ。しかし、それだけでは話にならん。
君の家にまず電話をして、ご両親と話さないといけないな。
番号を教えてくれ。」
「はい。では、今から、ボクの学校の先生にここに来てもらいます。いいですか?」
アキトくんは、少し指を動かしたように見えた。
すぐに、リビングルームにさっきの光が入ってきた。ピカーっとしたあと、
小さな円盤が、空中に浮かんでいた。
そして、アキトくんは、ボクたちの見ている前で、小さくなり始めた。
すると、部屋中に声が響いた。
「私はエアという星の学校の先生です。お話できて嬉しいです。
ぜひ地球の方にお願いがあります。
私の学校の生徒を、少しの間、預かってもらえないでしょうか。
地球の生活について、レポートを書きたいそうです。お願いします。」
お父さんは、持っていた新聞を落として、ソファからずり落ちてしまった。
お母さんは、一度、立ち上がったあと、へなへなと、床に座り込んでしまった。
ボクは、そんな様子がおかしくて、ワクワクして頭がバクハツしそうで、
心臓が飛び出しそうで、大声で笑って、最高!とジャンプしたい気分だった。
だって、本物の宇宙人だよ!本物の円盤だよ!
しばらく誰も声を出さなかった。
お父さんもお母さんも、腰が抜けてしまって、声もでないみたいだった。
いつのまにかアキトくんは、さっきの大きさに戻っていた。
「ね?いい?お父さん、お母さん、本物の宇宙人の男の子なんだよ。
うちで預かってあげようよ。ボクも夏休みなんだし、いいでしょう?おもしろいよ!」
しばらくしたあと、最初に、お母さんがうなづいた。
お父さんは何もいえなかったけれど、たぶんいいみたい。
先生の声がした。
「ありがとうございます。では、地球の時間で、2週間、アキトをお願いします。
地球の普通の生活を見せてあげてください。」
やっほー!ボクの家に、宇宙人の男の子がホームステイすることになった。
ボクは、今度こそ、大きくジャンプした。
2階のボクの部屋で、アキトくんも寝泊りすることになった。
お母さんが布団を運んできた。
「本当に、まだ信じられないわねえ。宇宙人の子供がこの家に来るなんて。」
「あきらくんのお母さん、これからお世話になります。よろしくお願いします。」
「あの、食事は私たちと同じでいいのかしら?」
「はい、ボクは肉は少し苦手ですが、地球のものと同じものを食べてみたいと思います。」
お母さんは、安心したみたい。
それに、新しい子が来た、と喜んでいた。