「宇宙人のホームステイ」(1)



ボクは星を見るのが好きだ。

今、使っている天体望遠鏡は去年のクリスマスプレゼントに

お父さんからもらったものだ。

真っ暗な空を見ていると、あのどこかに、もしかしたら人間が

いるかもしれないと思う。そう思うと、ワクワクがとまらなくなる。

宇宙に行ってみたい。

だから、ボクは宇宙飛行士になりたいな。

地球の外に出てみたいんだ。つくばに行って、ロケットを見たり、

宇宙飛行士の人達が訓練するプールとか、見学できるところを見てきた。

いつか、どこかで宇宙人に会ったら、握手しようと思う。

ボクの持っている本を見せてあげたいし、ボクの大事なリモコンカーとか、

いろいろ見せてあげるんだ。

宇宙人と友達になりたいなあ。




夏休みに入って、ボクは少し退屈してきた。

学校のプールに泳ぎに行ったりしてるけれど、

もう少し冒険をしてみたい。

ある晩、ボクは天体望遠鏡で夜空を見ていた。

何年か前に、火星が地球に大接近したんだって。

ボクはまだ小さかったからよく覚えていないけれど、お父さんが、

もしかしたら火星人が見つかるかもしれない、って冗談を

言っていたのを覚えている。

  夏の星座を本で確かめながら、夜空を見ていたときに、何か

キラっと光るのが見えた。

ボクは、飛行機かな、と思ったけれど、少し気になった。

この家の上は、そんなに飛行機が飛ばないからだ。

ボクは、天体望遠鏡で、しばらく夜空を見回した。

特に何もないな、と思った瞬間、目の前が、銀色になった。

レンズの向こうが、銀色だけになったんだ。

ボクは天体望遠鏡が壊れたのかと思って、目をはずした。

そして、ふと外を見た。 




ボクはびっくり仰天して、しりもちをついて、ひっくり返った!

窓の外の空に、円盤が浮かんでいたのだ!

それは銀色に光っていた!

ボクは夏休みには、冒険をしたいと思っていた。

宇宙人に会いたいとか、UFOを見れたらいいなあ、とか、思っていた。

でも、こんなのっていきなりすぎる!

ボクの目の前に、銀色の円盤が浮かんでいるんだ。

どうすればいい?

しばらくボクは見ていた。どうしたらいいのか、分からなかった。

大声で叫んでお母さんを呼ぼうかと思った。

心臓がドキドキしている。

ほっぺをつねっても痛い。

何かしようと思っても、足が動かない。

びっくりしすぎて、気絶しそうだ。